マーケティング5.0の内容を整理!アフターコロナのマーケティングの手法とコールセンターにおけるコミュニケーションの変化を考察!!

2021年8月12日3.マーケティング

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マーケティング5.0イメージ

マーケティングx.0とは?

マーケティングの神様、フィリップ・コトラーの「マーケティング5.0」を自分なりに調べたので概要と感想をまとめた。マーケッターだけでなく、事業企画や戦略などの方への一助になればと思う。

まずは簡単に「マーケティングx.0」の概要とこれまでの概要を整理しよう。

「マーケティング5.0」は、ハーバード・ビジネススクールのマーケティングの神様フィリップ・コトラーによる「マーケティング3.0、4.0」に続く待望の第3弾だ。

2021年8月現在ではまだ日本語翻訳版は出ていない。

「マーケティング3.0,、4.0」共に翻訳版があるので、「マーケティング5.0」翻訳版も近いうちに出版されることが予想される。

まず、マーケティング1.0~4.0を振り返ってみたい。

マーケティング1.0-4.0とは

マーケティング1.0~4.0の内容は以下に簡単にまとめてみた。

マーケティング1.0 製品の販売をすることが中心。4P(Product, Price, Promotion, Place)の時代 

マーケティング2.0   消費者のニーズを満足させることが中心。STP(Segment, Tageting, Positioning)の時代

マーケティング3.0   社会に貢献する価値の提供が中心であり、企業ミッションなどが重視される

マーケティング4.0 オンラインとオフラインを融合させたカスタマージャニーを描くことが求められるようになる

もう少し詳しい説明や、マーケッターの方にむけて

マーケティングマトリクスの整理を以下記事でも記載しているので参考にしてほしい。

前提整理!マーケティングイネーブラー(前提となる技術)6点の種類とは?

マーケティングを理解する上で、その契機となっている前提条件を整理する。

「なぜいまマーケティング5.0が必要か」という理由にもつながってくるからだ。

その理由とは
①デジタル化により人々はさまざまなマイナス面とプラス面に直面しジレンマに陥っていること
②従来できなかったさまざまなことがテクノロジーの成熟により可能になっていること
と言われている。では「デジタル化」や「テクノロジーの成熟」とは何か?


以下の6点と整理されている。

  • 演算能力(パソコン)
  • オープンソースソフトウェア
  • インターネット
  • クラウドコンピューティング
  • モバイルデバイス(スマホ)
  • ビッグデータ

これらのようなテクノロジーの進化が加速する世界とは、どのようなものだろうか?また人々との共存は可能なのだろうか。ここにマーケティングやマネジメントのジレンマが発生している時代だ。

ジレンマが発生する理由とは何か?テクノロジーのメカニカル領域とヒューマニティー領域を理解する!

技術の発達に対してそれを社会に反映させることが完了していないものが多い。なぜならまだ機械が得意な領域が人間が得意な領域を完全に代替することができていないからだ。
それぞれを詳細に考えていこう

機械の得意な領域
データを効率的に処理、パターン化が得意
特定のアルゴリズムに沿ったロジカルな考え方
機械はプログラムできるものを速いスピードで、大規模で行うことが可能

人間の得意な領域
洞察力があり機械が持てない視点を持てる
他者の共感を呼ぶ結びつきを構築できる
文脈を理解することが必要なタスクや、単純な常識推察に対し柔軟に対応

次章から詳しく説明するが、マーケティング5.0は、顧客体験と次世代テクノロジーの掛け算として考える必要がある。

マーケティング5.0の定義とは

マーケティング5.0の定義は、結論から言うと以下だと理解する。

人間の代わりをテクノロジーで応用し、カスタマージャー二ー全体の価値向上させること

つまり、生まれた時からインターネットに触れているZ世代(1997~2009年生)とアルファ世代(2010~2025年生)はそれ以前の世代とは異なる消費者行動や価値観を持つと考えられる。

その世代に対してテクノロジーを応用した新たな価値提供をする必要があると主張しているのがマーケティング5.0だ。

マーケティング5.0の全体像

マーケティング5.0の全体像は以下のように整理できる。まずはそのキーワードを把握しよう!

応用すべきテクノロジー 6点

AI, NLP(自然言語理解), センサー, ロボティクス, VR・AR, IoT

中心となるマーケティング 3点

マーケティング5.0を構成する5つの要素

マーケティング5.0は5つの要素で構成される。

  • データドリブンマーケティング
  • プレディクティブマーケティング
  • コンテクスチュアルマーケティング
  • 拡張マーケティング
  • アジャイルマーケティング

それぞれを簡単に見ていこう。これらの要素を知っておくことは『マーケティング5.0』を理解しかつ実践するために重要であり、進め方や内容を理解しておくことで、より今後の顧客体験の増幅に役立つはずだ。

データドリブンマーケティング

1つ目はデータドリブンマーケティングだ。決定を下すために、どのようにデータを使うのか、また決断を助けるためにいかにしてデータを集めるのかということが重要だ。

データドリブンマーケティングは、まず、目標を定義することからはじまる。何を達成したいのか、どのような課題を解決したいのか、そしてこれらの目標達成のためにどのような分析を行うのか、そしてそれを達成し、答えを見つけるためのデータを探す。

ビッグデータの拡大により、多くのデータソースを取ることが出来る。大きくは6つカテゴリに分かれて整理されている。
①ソーシャルデータ
②メディアデータ
③ウェブデータ
④POSデータ
⑤IoTデータ
⑥エンゲージメントデータ

の6つだ。⑥はイメージしにくいかもしれないが、顧客との接点で生まれたデータでコールセンターやSNSなどの、コミュニケーションで生まれるデータを指す。

プレディクティブマーケティング

2つ目は予測可能なマーケティングだ。予測モデルや予測アナリティクスを用いてマーケティング戦略の結果をどのように予測するのかが重要だ。過去の記録、過去のマーケティングアクション、過去の業務成績などを基に作ったデータを用意し、機械学習をさせることで将来の予測や企業業績結果を予測していく。

たとえば、小売りにおいて、デモグラフィックデータ、行動データまで、ターゲットでの買い物客のデータを収集し予測や洞察を得るケースが事例にあげられる。顧客にあったサービスを提供する基盤とすることが多い。

コンテクスチュアルマーケティング

3つ目はコンテクスチュアルマーケティングだ。顧客が誰なのかを理解すること、顧客を定量定期に理解するのではなく、定性的な理解に基づき、どうしてそのようなフェーズにいるのか、どうして購入決定をするのかといった、コンテクストを理解することで、サービスの提供をいかにパーソナライズするかということだ。

顧客とのやり取りからコンテクストを理解し、顧客の感情や状況をAI、機械学習によるアルゴリズムに基づきパーソナライズされた反応を提供することが可能となっている。1人ひとりの顧客に合わせた正しいメッセージ、商品、販売促進、メディア媒体、体験を提供することが可能だ。

たとえば、音声分析機能を使い顧客からかかってくる電話の分析を行っています。顧客の感情を理解し、電話をしてきた人にふさわしい対応をするよう、コールセンターのスタッフにリアルタイムで対応の仕方を提案をする。例を上げると、電話をしてきた人が苛立っていたり、怒っているようなときにはAIがコールセンターのスタッフに警告を出したり、ソフトな口調で対応するよう促す。

SNS時代のマーケティングの課題:生活者の「コンテクスト」をとらえる

拡張マーケティング

4つ目は拡張マーケティング。最前線のスタッフをデジタルテクノロジーで強化することにより、どのように人と人の接点を強化するのかを探っていく。この拡張マーケティングは前提として特定の業界・部門においては、完全にオートメーション化をするのは不可能という前提にたつ。こういった業界・部門ではときには人が介入することが必要だ。

具体的には、保険、小売、携帯電話会社などは、対人対応(ヒューマンエクスペリエンス)が取引を促進する。また人が対応することにより信用ギャップを埋めることにもある。人的な接触がなければ人は商品を信用しないから、人が商品の説明しその商品を使うよう説得する必要がある。このように対人対応が必要な業種はほかにも、不動産売買、自動車、卸売業などがある。

対人対応は商品自体を強化することもある。たとえば、おもてなし産業、ホテル、ヘルスケア、教育、コンサルタントや弁護士などのプロフェッショナルサービスが該当する。これらの業界では対人対応が業務の中核であり、デジタルテクノロジーを用いて対人対応の能力を拡張するのです。一方、専門性が下がるほどフルオートメーションになっていく。この領域は人的介入は限定的になる。

そこで、成約確度の低い見込客、確度の高い見込客をフィルターするために機械を使い。確度の高い見込客が見つかれば、最終的には人が対応して契約につなげるという対応が必要になる。つまりチャットボットなどの自動化されたセールスインターフェースである機械と、実際に人が関わるセールスインターフェースの融合により、効率よく成果を上げることができるようになる。

アジャイルマーケティング

最後はアジャイルマーケティングだ。マーケティングオペレーションを運営する際に、いかに迅速に実行できるかが重要になってくる。

ただ、この実装には要件が多い。以下紹介する。

アジャイルマーケティングでは迅速さが求められますが、迅速に実行するにはすばやくマーケットを理解し、販促活動を検証するための①リアルタイムのアナリティクスが必要となる。

異なる作業工程で小規模な任務を担う②分散型のチームも必要だ。
また自動車の開発プラットフォームと同じような③フレキシブルなプロダクトプラットフォームも必要。プラットフォームを元に変更要素を加えまったく新しい製品を生み出すためだ。
そして逐次処理を行うのではなく並行するプロセス、④同時プロセスで行う必要だ。逐次プロセスは、前のプロセスが終了しないと次のプロセスへ進めないため、ときに大きな遅延を生み出します。同時プロセスなら同時に問題を解決し迅速にプロセスが進められるようにする必要がある。また⑤迅速な実験も必要だ。マーケットで商品を迅速に短期間でテストを実施する。1〜2週間で製品をテストし、マーケットで受け入れられるかをリアルタイムで確認していく。

改善案や新規事業、新規製品の⑥アイデアは企業内部からだけでなく外部の情報源(オープンイノベーション)からも得られる。自社が抱えている問題について社外の人の意見を聞いたり、解決法を求め社外の専門家に相談することも一案だ。

コールセンターとコミュニケーションの在り方とは?

コールセンターに求められる直接てきなプロダクトやビジョンは以下だ。

  1. データドリブンマーケティングにおけるソーシャルデータやエンゲージメントデータのVOC活用
  2. プレディクティブマーケティングにおける、AI分析活用セールス予測や着信予測
  3. コンテクスチュアルマーケティングにおける、音声認識、AIbotの活用

上記3つは直接的なプロダクトがすでに市場化されている。

重要なことは拡張マーケティング領域だ。テキストコミュニケーションでは利便性は与えられても、信頼を得ることは難しい。感動や驚き等の感情を揺さぶることができるのは、まだヒューマニティ優位の領域といえるだろう。ここに顧客のニーズやステージ(5Aのカスタマーパスの意)にあわせてサービスを設計することができるかが重要だろう。

感想・まとめ

個人的には感覚的に語られることが多いZ世代、ミレニアム世代といった世代の違いによる顧客の行動の違いについて、整理されており、マーケティングと紐づけて全体像を描いているところに価値がある。

一方で、今回はマーケティングというよりも、テクノロジーについて多く言及されており、一般的にすでに知られている話も多かった印象だ。とはいえ、特に大企業のマーケターにとって、テクノロジーをマーケティングに活かすことは必須の時代ではあるので、価値のある1冊だと思う。日本語の翻訳を心待ちにしたい。