サーバントリーダーシップとはなにか?トップダウンと対極のリーダーシップ論を紹介!

2.コミュニケーション

サーバントリーダーシップ

サーバントリーダーシップとは

リーダーシップと聞くと、「一人のリーダーが上に立ち、部下を引っ張っていく」、そんなイメージをされる方もいるかもしれません。サーバントリーダーシップは、部下を支配するようなものではなく「まず相手に奉仕し、その後にチームを先導するリーダーシップ」を指します。

上司といえどチームや部署単位では1人の従業員にかわりはありません。企業成長のために、先ずは部下の能力を認め引き出せるよう、部下を奉仕・支援することを目的としたリーダーシップです。結果的に働きやすい環境づくりや、信頼関係の構築につながり、部下の主体的な行動や成長が見込めます。

サーバントリーダーシップは、1970年にロバート・グリーンリーフが提唱した哲学です。グリーンリーフ氏が敬虔なクリスチャンであったこともあり、イエスキリストの「仕えられるためではなく仕えるために来た」という言葉がベースになっているといいます。この哲学思想は日本においても広がりをみせており、UNIQLO(ユニクロ)の柳生正氏も「社長全員にお願いしたいのは、サーバントリーダーになってもらいたいということ。」と述べています。

一方で、サーバントリーダーシップとは対局の考え方に「支配型リーダーシップ」があります。2つの違いについて見ていきましょう。

支配的リーダーシップとは何か?サーバントリーダーシップの違い

支配的リーダーシップとは、一般的に想像しやすい先導型のリーダーシップです。昔ながらの背中で見せるからついてこい!というタイプのことで、これら二つは以下のように整理されています。

支配的リーダーに従うメンバー行動サーバントリーダーに従うメンバー行動
主に恐れや義務感で行動する主にやりたい気持ちで行動する
主に言われてから行動する主に言われる前に行動する
言われたとおりにしようとする工夫できるところは工夫しようとする
リーダーの機嫌を伺うやるべきことに集中する
役割や指示内容だけに集中するリーダーの示すビジョンを意識する
リーダーに従っている感覚を持つリーダーと一緒に活動している感覚を持つ
リーダーをあまり信頼しないリーダーを信頼する
自己中心的な姿勢を身に付けやすい周囲に役立とうとする姿勢を身に付けやすい
支配的リーダーとサーバントリーダー

引用元 サーバントリーダーシップ協会

あるべき姿はどちらかというと、サーバントリーダーのほうが自立して見えます。本当にそうでしょうか?もう少し詳しく特性を検討します。

サーバントリーダーシップ10の特性

サーバントリーダーシップの特性を見ていきましょう。サーバントリーダーには、以下のような「10の特性」があります。

1. 傾聴

メンバーの意見をしっかりと聞くスキルのことです。サーバントリーダーは自分の意見を押し通すのではなく、「リーダーとして何ができるのか」まで考えます。傾聴力は、カウンセリングのテクニックとしても使われています。単に話を聞くだけでなくメンバーの些細な仕草なども察知し、相手の気持ちに寄り添います。

2. 共感

相手の気持ちをくみとり、共感するスキルです。共感力のあるリーダーは、常に相手の立場に立って物事を考えています。メンバーから見ても、リーダーが自分の感情や思いを共感してくれると「この人についていきたい」を思うといわれています。

3. 癒し

メンバーの心に癒しを与えるスキルです。組織内で仕事をしていると、意見がぶつかり合ったり、上司から叱られりして、心に傷を負う社員もいます。そんなときに、やさしい言葉をかけることで、相手の心を癒してあげます。

4. 気づき

チームでの行動を含む、社内のさまざまな環境に「気づく」というスキル。偏見にとらわれずに物事をフラットな状態で見ることで、社員も新しい気づきを与えられます。周りが良く見えているリーダーは、メンバーの変化にもすぐに気づけるため、一人ひとりに対するケアも迅速です。

5. 納得

相手とのコンセンサスを得て、お互いに納得を得ながら物事を進めるスキルです。コンセンサスとは「意見が一致する」という意味。自分の意見を無理やり押し通すのではなく、相手の意見を踏まえ、お互いにとって最適な結論を出します。

6. 概念化

チームとしてのビジョンや達成したいノルマを明確にもち、それをメンバーに伝えるスキル。また、メンバーから集まった抽象的なビジョンを「統合するスキル」でもあります。全員が同じ方向を向き、チームに一体感を生むためにも重要といえるでしょう。

7. 先見力

「先見の明がある」という言葉があるように、先を見通せるスキルです。現在と過去のチームの状態を照らし合わせながら、これから起こる出来事を予測します。先見力によって、トラブルを回避できたり、万が一トラブルが起きてもスムーズな対応が可能です。

8. 執事役

身分の高い人の家などで家事や事務をおこなう「執事」のように、常に一歩引いて行動できるスキルです。執事役に徹するリーダーは、メンバーが気持ちよく働いてもらうための自己犠牲の精神をもっています。自分の利益ではなく相手の利益を優先し、それに喜びを感じることができるのです。

9. 成長への関与

「相手が成長するために自分は何ができるか?」を常に考え、実行するスキルです。メンバーの一人ひとりが秘めている潜在能力に気づき、それの開花を促すことに深くコミットします。

10. コミュニティづくり

メンバー全員が、組織内で成長できるコミュニティをつくり出すスキルです。サーバントリーダーがつくるコミュニティは、ただ全員が集まるだけでは満足しません。それぞれが愛情や癒しをもってコミュニティに参加します。

サーバントリーダーシップのメリットデメリット

「社員への思いやり」が長けているサーバントリーダー。一見メリットしかないように見えますが、実はデメリットな面も。サーバントリーダーシップのメリットとデメリットの両面をしっかりご紹介します。

サーバントリーダーシップのメリット

モチベーションが上がりやすい

1つ目のメリットは「社員のモチベーションが上がる」という点です。社員の意見を第一に考え、一人ひとりのケアをおこなうため、社員は「大事にされている」と思うようになります。サーバントリーダーは、部下を尊重し、相手の自主性を大切にします。部下もそれに応えようと、仕事へのパフォーマンスが高まるのです。

顧客満足度にプラス

サーバントリーダーシップは「顧客満足度」にもプラスの影響を与えます。顧客の声をいちばん知っているのは「現場」です。サーバントリーダーは、相手の意見を尊重する特性があるため、現場の声にもしっかりと耳を傾けます。そのため、「どうすれば顧客を喜ばせることができるか?」を考え、顧客視点での経営戦略を練ることができるのです。それが結果として、顧客満足度の上昇につながります。

サーバントリーダーシップのデメリット

組織の方針決定に時間がかかる

サーバントリーダーの特性に「相手の意見に耳を傾ける」があげられますが、逆にいうと聞くために時間がかかります。定常業務であればよいかもしれませんが、プロジェクト等の終わりが見えている業務では進捗に悪影響をおよぼすリスクがあります。注意が必要です。

受動的な人や経験が浅い人は注意

メンバーの主体性を重視するため、「自ら思考することが苦手な社員」「知識や経験が浅い社員」が不満に思うケースがあります。基本的にサーバントリーダーは、メンバーへの思いやり精神が強いですが、そもそも主体的に行動できないメンバーは、指示してくれれば楽なのにと思ってしまいます。

サーバントリーダーシップの導入事例

スターバックスコーヒー

通称「スタバ」で親しまれているスターバックスコーヒーは、1971年にアメリカのシアトルで誕生したコーヒーショップ。今や世界規模で展開するコーヒーチェーンです。

スタバも、サーバントリーダーシップに注力する企業のひとつで、元社長であるハワード・ビーハー氏は「スターバックスが世界的企業になったのは、サーバントな文化・人を大切にする文化を原動力としていたから」と語っているそうです。

そのような思いは今でも継承されており、「経営陣よりも現場で働く社員の方が大切である」という哲学を大切にしているスタバ。ストアマネージャーを対象にした「奉仕型セミナー」を開催するなど、人と人とのつながりを大切にしたチームをつくる取り組みをおこなっています。

サーバントリーダーシップのまとめ

本記事では、サーバントリーダーシップについて、以下のポイントを説明しました。

  • サーバントリーダーシップの基本的な知識が身につく
  • サーバントリーダーシップのメリットやデメリットの両面がわかる

何よりも「社員(部下)ファーストの精神」を大切にするサーバントリーダーシップ。サーバントリーダーシップを身につけたリーダーがいると、社員のパフォーマンスが上がり、会社の業績にも良い影響を与えると思います。ただし、使い方を間違えないようにデメリットは気をつけてください!