W/R比率とは?ダイレクト販売と卸販売の度合いを示す指標を解説します

3.マーケティング

W/R率という指標の説明と現実的な使い方を考察しています。

W/R比率という言葉をご存じでしょうか?

W(wholesale/ホールセラー)は卸売業、R(retailer/リテイラー)は小売業のことで、W/R比率(wholesale /retail sales ratio)とは卸売販売額に対する小売販売額の比率を示したものです。

これは「卸小売比率」ともいわれており、この数値によって卸活動の大きさを測ることができます。
逆に言えばどれだけダイレクト販売ができていないかを知ることが可能です。

この記事ではW/R比率とは何か、また、どのようなことを知るために利用されているのかを解説します。また、日本は全般的にW/R比率が高いといわれているので、その理由について考察も付け加えたいと思います。

   

W/R比率の算出方法

W/R比率は以下数式で計算されます。

「W/R比率」=「卸売販売額」/「小売販売額」

卸売販売額:卸売業の総販売額
小売販売額:小売業者の総販売額

年間卸売総販売高÷年間小売総販売高で計算して指標化します。

たとえば、この比率が高いということは一体どういう意味を持つのでしょうか。

単純に卸売総販売高÷小売総販売高で試算してみると、生産者が5000円で卸売業者Aに販売し、その卸売業者が自社の利益2割(1000円)を乗せて6000円で小売業者に販売、小売業者は自社の利益2割(1200円)乗せて7200円で販売したとします。卸売業の総販売高は6000円で小売業は7200円で販売するので、W/R比率は6000÷7200≒0.83です。

これが卸売業者を3社経由(各業者の利益は2割と仮定)して消費した場合、卸売業者Aが6000円、卸売業者Bが7200円、卸売業者Cが8600円、小売業者が10300円で販売するので、W/R比率は(6000+7200+8600)÷10300≒2.12となります。

つまり、W/R比率が高ければ高いだけ、小売販売高に占める卸売販売高の割合が大きいということになります。

それは卸売業者間で販売が繰り返されているということで流通経路が長い、流通段階が多いと言えます。

日本のW/R比率は?

日本のW/R比率は、3~4の値と言われています。これは、アメリカやヨーロッパ諸国に比べてかなり高い値です。他国に比べて生産者から消費者にわたるまでの段階が多く、卸売段階での販売額が重複されて計算されており、販売総額が大きくなっている、言い換えれば、中間マージンが多い国なのです。

しかし、W/R比率を単純に用いて流通経路が多いと決めつけるのは早計です。留意すべきことがふたつあります。

W/R比率が高い理由

ひとつは、卸売販売総額には貿易財、生産財、中間財、原材料など国内消費に向かわないものを含んでいることです。そのため、正しく把握するためにはこれらを除いて消費財に関する卸売販売額だけで計算してみる必要があります。ただ、この計算方法で見ると、日本のW/R比率は下がるそうですが、それでもまだ日本の流通経路は長いといわれています。

二つ目の問題は、W/R比率から、流通経路の長さとは別の意味があるかもしれないということです。日本はアメリカとW/R比率に大きな差がありますが、これは日本の卸売段階が多いという理由だけではないかもしれないという見解です。というのも、卸売店舗密度と小売店舗密度の比率については、日本とアメリカに大きな差はありません。つまり、卸売業者の段階が多いのではなく、卸売と小売の1店舗当り販売額の格差がアメリカに比べて大きいことを意味しています。日本は小売店舗の大規模化の割合が低く、逆に、総合商社に代表される大規模卸売業者があるのが特徴です。これは、諸外国に比べてW/R比率が大幅に高い要因のひとつだと考えられ、私はこちらのほうがメインの要因だと思います。

つまり、メーカーが大型のショッピングモールで買いだめするのではなく、商店街などの近所で新鮮な商品の買い物を好む文化の日本では当然小売りのルートが細分化し分かれます。

まとめ:活用方法

日本においては、従業員10人未満の小規模な商店数の構成比が高く、対する卸売業の販売額に関しては、100人以上の大規模卸が大きな割合を占めています。しかし、全体的な傾向としては、アメリカ、西ドイツ、イギリス、フランス、イタリアに比べて卸売は多段階です。その理由としては、総合商社の存在や仲介業者の役割が小さいという背景があります。

そこでこの指標は何に使われるのか?他業者とのダイレクト性の比較をする意味で使えます。ただし他業者の卸利用数や売上数は正確に理解することはできないため、想定タッチポイント数で代替することが望ましいのではないでしょうか。

私は卸売り業を否定してダイレクト販売を斡旋するつもりはないです。個人の商店や小さい企業では商品の取りまとめ、流通まで実施することは難しいからです。

ただ、ダイレクトセールスのほうが効率が良いことは確かです。

卸が介入する分の物流をメーカーが直接顧客に行えれば相当な流通量は不要となり効率化される思います。ただ、卸を通さないでどうやって中小企業の棚に商品を並べるか、要は小規模の商圏の顧客にリーチできるかなんだと思います。